8月2日の衆議院予算委員会で、民主党の松野
頼久議員が質問にたち、かんぽの宿の不動産
鑑定についての問題点が明らかになりました。
問題は、郵政公社からの働きかけにより、鑑定
評価の内示額が1週間に2度変更され、当初の
約221億円から約97億円になったとのことでした。
その経緯は、私の知るところでは、ありませんが、
政府は不動産鑑定法違反の疑いがあると、答弁
しており、担当した不動産鑑定士の参考人招致
も検討するようです。不動産鑑定評価制度にとって
重大な危機といえるかもしれません。
不動産鑑定士はあくまで、依頼者から報酬を頂く
立場ですので、依頼者からの要望事項については
無視することはできないのが、実情です。しかし、
その内容が反社会的な内容であれば、話は別。
あくまで、拒否することが不動産鑑定士の責務
です。私も年に何度か依頼を謝絶しますが、
相手が公共機関だと特に辛いです。以後の発注
はほぼなくなります。先輩からは「謝絶して感謝され
る鑑定士になれ」と言われたことがありますが、
理想と現実のはざまで苦悩するのが不動産鑑定士
の実情です。
参考人として国会で証言される不動産鑑定士の方は
毅然とした姿勢で率直に話してほしいと思います。
災い転じて、不動産鑑定評価制度の重要性を社会が
認知する契機になれば、こんな嬉しいことはありませ
ん。